こんにちは,ひなたパパです。
ソフトバンクが公募割れで,怒り心頭で個人投資家が大騒ぎです。
ですが,本音はIPOに当選した人も「公募割れあるかも?」と思っていた人が大半なのではないでしょうか。
高配当の甘い罠
今回の公募価格は,同業者のドコモとKDDIと比較しても非常に割高でした。
また,有利子負債の多さといったらびっくり仰天レベルで,普通の感覚では投資を躊躇するレベルです。
ですが,高配当という手段でそのような状況を上手く誤魔化し,アピールしてきたのです。
最近,個人投資家に人気があるのが,高配当銘柄です。
それが5%を超えるとなると,より魅力的です。
ところがどっこい,配当性向は85%という驚きの事実なのです!
配当性向とは,その期の純利益(税引後利益)の中から,配当金をどのくらい支払っているかをパーセンテージで表したものです。
配当性向は,投資を行う際に企業を評価する指標のひとつで,一般的には,「配当性向が高いほど,株主還元している」と考え,高い評価をします。
ですが,85%というのは異常です。
しかも,借金まみれの会社であり,潤沢な資金があるわけでもありません。
そんな借金まみれの会社が,内部留保を増やし負債を圧縮することなく,純利益の85%も配当金に回すというのですから正気とは思えません。
将来,高い確率で減配が待っているのは,関係者であれば誰でも分かっているのではないでしょうか。
こんなに減配リスクたっぷりの会社が高配当銘柄をアピールするのは,個人投資家を馬鹿にしすぎだと感じています。
IPOの当選確率が異常に高い!
そして,今回ネット上でも話題となったのが,IPO当選者が続出したということです。
通常,IPOの当選確率は低いです。
私も過去数回しかIPOに当選したことがありません。
ところが,今回は当選か補欠かといったレベルで,落選はほとんどなかったようです。
このような状況におかしいと感じた人は辞退を申し出ていたようですが,証券会社の売り込みが凄く,どうにか購入者を手当てしたといった状況です。
この時点で証券会社は,公募割れはほぼ確実と思っていたに違いありません。
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茶番劇の一部始終
さて,このような状況で市場が開き,関係者は状況を見守ることとなりました。
以下では,日本経済新聞(電子版)を引用しつつ,関係者の茶番劇の一部始終を見ていきましょう。
初値は1,463円と公開価格を2%下回りスタートです。
9時5分には,売買代金が2,000億円を超える大商いです。
■9時15分 「相場の地合い悪かった」
IPOで1,000株購入した50代の投資家は「相場の地合いも悪く、予想より下がらなかったというイメージ」とあきらめの表情。「高配当なので保有を続け、もう少し下がったら押し目買いを入れたい」と話しました。売買代金は2500億円に迫る勢いです。
なんという悲劇・・・!!
相場の地合いが悪いのではなく,もともと公募価格が高く設定されていて,加えて人気がなかっただけなのです。(地合いの問題も多少なりありますが,人気があればそんなことは関係なく公募を大きく上回ります)
割高で,財務も非常に悪く,誰がこんな価格で買うのでしょうか?
この50代の投資家は,「高配当」というだけで,減配リスクたっぷりの会社であるにも係わらず,今後も高配当が続くと信じ,押し目買いしたいと言われているのです。
自己責任の世界とはいえ,高配当をアピールして売り出しすぎたのではないでしょうか?
ソフトバンクではなく,健全な財務の高配当銘柄を購入されることを切に願っています。
■9時20分 「こんなに下がるとは」
株価は一時1,344円まで下げた後は値を戻していますが、公開価格を下回る値動きが続いています。国内証券の担当者は「こんなに安値で始まるとは」と驚いた表情で、「公開価格が1,500円に決まってから、(通信障害など)悪材料が出過ぎた」と分析していました。売買代金は2,500億円を超え、東証1部全体の5割弱を占める大商いとなっています。
IPOであるにも係わらず買い手不在であったため,証券会社自ら売り込みを必死にかけたので,証券会社の関係者にはソフトバンク不人気の認識があったはずです。
それを,「こんなに安値で始まるとは」と驚いた表情なのです。
その発言に,私は驚いた表情をしています!
■9時50分 「成長ストーリー描けない」
ヘッジファンドの担当者は「(相場が軟調だった)2018年のとどめを刺したが、配当利回りが5.5%までくればいったん下値になるのでは」と話しました。ドルトン・キャピタル・ジャパンの松本史雄シニアファンドマネジャーは「配当利回りが高くなっても、業績の成長ストーリーが描けない」として買いを入れるつもりはないといいます。「楽天が携帯電話市場に新規参入すれば、顧客が流出しやすいのは価格の安さで競合するソフトバンクになるし、政府による携帯電話料金値下げの議論も出ている」と指摘しています。
携帯電話料金値下げの議論なぞ,今出てきた話でもないのですが,携帯電話会社の今後は収益悪化が懸念されています。
当然,ヘッジファンドからすると,業績の成長が期待できない会社を買い付けることはなく,このコメントは金融関係者の共通認識ではないでしょうか。
■10時 「個人マネーの動き鈍る恐れ」
10時の株価は1,392円です。証券会社の担当者は「初値が公開価格を下回ったことで、IPOに申し込んだ個人投資家の資金の多くが塩漬けされ、個人マネーの動きが鈍る可能性がある」と心配します。別の証券会社の担当者は「大口の個人投資家には,儲かろうが損しようが初値で売る人が一定数いる。今回は証券会社に頼みこまれて買ってる人も多いから、そういう売りが大きくなりがちなのではないか」と話しました。
大口の個人投資家の中に,儲かろうが損しようが初値で売る人が一定数いるのは事実でしょう。
しかし,機関投資家と見受けられる買いが1,463円で1.8億株ありました。
大口の個人投資家が叩き売りしても,この壁をやぶることは現実的ではありません。
証券会社の担当者は,適当なことをコメントしていると感じてしまいました。
多くの個人投資家が,公募割れするのではないか?と漠然とした不安を抱える中,それが現実となり,やはり割高であったことを知った人が投げ売りしたのではないでしょうか?
損切りのできない個人投資家は塩付けにされ,個人マネーの動きは鈍り,最近不調な株式市場をさらに輪をかける事態を招いています。
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■10時30分 上場セレモニー終わる
拍手のなか、上場セレモニーが終わりました。打鐘の後の記念撮影では司会から宮内社長などSB関係者に「表情が硬いですよ」と声がかかる場面もありました。東証の関係者は「これまでの新規上場と明らかに注目度が違う」と報道関係者のカメラの多さに驚いていました。
10時10分上場セレモニーが始まりました。
そして,上場セレモニーが終了した後の東証関係者は「これまでの新規上場と明らかに注目度が違う」とコメントしました。
全国で個人投資家の悲鳴があがる中,能天気にカメラマンの多さが気になったようです。
■15時 終値は1282円
終値は1,282円とこの日の安値となりました。公開価格を15%下回りました。
これは酷い・・・!
■15時10分 「値付けは間違っていない」
日本証券業協会の鈴木茂晴会長は19日の定例会見でソフトバンクについて「堅調に値段が付いて欲しかったが、残念。PER(株価収益率)はNTTなどに比べて高いが、配当利回りが5%と高い。値付けは間違っていないと思う。会社が描くエクイティストーリー(成長戦略)を確実に実行して、投資家がよかったと思えるような株価になって欲しい」と話しました。
もはや反省の色なしの発言です。
PER(株価収益率)はドコモなどに比べて高いうえ,借金まみれの財務であるにも係わらず,無謀な配当性向85%を設定し,5%という配当を達成させただけです。
今回のIPOは「公募株」ではなく「売り出し株」です。
公募株とは企業が新たに発行する株のことで,資金を調達するのが目的です。
売り出し株は,創業者など大株主が売却する株を指します。
つまり,売り出し株の売却収入は大株主の手に入り,企業の収入にはならないのです。
ということは,ソフトバンクには資金は調達されず,その親会社のソフトバンクグループに資金が入るのです。
当然のことながら,売り出すのですから,既存価値より高く売れれば売れるほど,親会社は儲かるのですが,ソフトバンクの簿価は公募価格の半値以下なのですから,何を持って値付けを間違っていないと豪語しているのか不明です。
今回は「1,500円」の単一価格とかなり珍しい仮条件でした。
結果は,無様に15%も下回り,個人投資家からは悲鳴の上がる上場茶番劇でした。
ソフトバンクにはせめて業績をあげ,誠意を示して欲しいものです。
※個人の主観が相当入っています。投資は自己責任です。私は応募すらしていません。そして証券会社の押し売りもスルーしまくりです。