≪中学校2年生:11月下旬の出来事≫
私立の中高一貫校に通う娘が,ベネッセの2018年度中学総合学力調査の結果を持って帰ってきました。
その内容が明らかに2020年の大学入試改革に向けてのもので,問題も評価方法もよくある学力テストとは全く異なっていましたので,教科ごとにご紹介しようと思います。
※一人の保護者としての記事ですので,ご承知のうえお読みください。(専門家でも教育関係者でもありません)
このテストは,各教科における思考力・判断力・表現力を測定するものです。
改革後の大学入学者選抜において,必要とされるこれらの力を測定し,到達度を確認,自分の強みや弱い部分を知ることができます。
👇大学入試改革について👇
総合学力調査はこんな評価方法
国語,数学,英語,教科融合の4科目のテストです。
得点によってレベル1~4で評価されていて,順位や偏差値などは頂いた資料ではわかりません。
普通,外部テストって,そこに興味があるものですよね?
全国での立ち位置をリアルに知れるというか・・・。
じゃあ,このベネッセのテストがどういう評価方法だったかと言うと,各科目それぞれ異なる3つの観点で力を測り,評価するものでした。
そしてその3つの観点の力それぞれに,最低のCランクから最高のSランクまでの4段階で評価がされていました。
今回は英語についてご紹介します。
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英語の3つの力
英語の場合は,リーディングとヒアリングを組み合わせて,次の3つの力を測っています。
- 英語で内容をつかみ理解する力
- 英語の情報を組み合わせて判断する力
- 読み手に伝わる英語で表現する力
1→3の順で必要とされる英語の習熟度が高くなると考えられます。
英語で内容をつかみ理解する力
『英語の題材から明示的な解答を引き出しだり,内容理解したりすること。』「結果活用ブック」より
つまり,英語の文章を読んだり聞いたりして,話のあらすじなど,おおよその内容や全体的な流れを把握し,読み(聞き)落としてはならない重要なポイントをおさえ,情報や書き手の考えや言いたいことを理解する力です。
時間配分を考えると,英語が苦手な子にありがちな戻り訳はNGで,英語の語順で意味の塊ごとに理解していく必要があります。
特にリスニングの場合は,リーディングのように目で見るわけではありませんから,戻り訳をする子はスピードについていけず全く理解できない状態になります。
参考までに,戻り訳の例を挙げます。(やや極端ですが・・・)
His host parents asked him again and again, “Are you enjoying staying with us?”
『彼のホストペアレントは「君は私たちと一緒に滞在することを楽しんでいる?」と何度も彼に尋ねました。』
そして,英語の語順で読み(聞き)ながら把握しようとすると,こうなります。
『彼のホストペアレントは彼に尋ねた。何度も。「君は楽しんでいるか?私たちと一緒の滞在を。」』
日本語としては崩れていますが,どういうことを聞きたい質問なのかは十分理解できますね。
英語の情報を組み合わせて判断する力
『英語の題材から明示的でない解答を引き出したり,複数の情報を組み合わせて課題解決したりすること。』「結果活用ブック」より
最初の「英語で内容をつかみ理解する力」から一歩すすんで,得られた複数の情報を組み合わせて考えて課題解決したり,明確に表されていない内容を推察したりする力です。
ごく簡単な例を挙げます。
数人で会話をしている設定の英文中に,文房具の価格,登場人物の必要としている数,お店で20%OFFのセールが実施中という情報が盛り込まれていたとします。
そこで問題として出されるのは「全部購入する為には幾ら必要ですか」といったものになります。
情報を取りこぼしたり,情報整理を間違えると正解することはできません。
読み手に伝わる英語で表現する力
『英語で聞いたり読んだりした内容に基づいて,自分の考えや理由,客観的な事実等を英語で表現すること。』「結果活用ブック」より
2番目までの力で把握した内容に基づいて,自分の考えや理由,必要な情報を,読み手に伝わる英語で表現する力です。
私たちの学生時代,ライティングの問題は,与えられた和文を英訳するような単純なものがほとんどでした。
ですが,このテストで求められるライティングはそういったものではありません。
単純な英訳ではなく英語の題材を理解した上で,自分の考えや明確に書いていない答えを導き,それを英語で解答しなければいけません。
例えば,英語のニュースを聞いたのち,アナウンサーの最後の締めを自分で考えたうえで英作文を求められるのです。
とても実践的な内容で,親世代の私たちが身に着けることの出来なかった使える英語を習得するため,中学生のうちからトレーニングするのだなぁと思いました。
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英語はこんな問題(2018年度中2)
制限時間45分で大問が4題です。
今回出題された各大問について簡単にご紹介します。
第1問:リスニング・ライティング
英語の会話文を聞いて内容をつかみ,様々な質問に答える問題です。
小問2つあり,題材の一つは「自己紹介」,もう一つは「メニューを見ながらの二人の会話」です。
自己紹介を聞いたあと,内容に当てはまるものを選択します。
また,自己紹介した相手に,もっと聞きたい内容の質問を考えて英作文することを求められていました。
第2問:リスニング・ライティング・リーディング
「週替わりの質問動画を見て,世界の中学生が意見投稿するインターネットサイト」 を,自分が見ている前提で問題が作られていました。
動画の内容を音声放送で聞き取ったのちに,今週の質問が何か日本語で答えます。
その後,既に投稿されている意見(もちろん英語)の内容を把握して,それと重ならないように,自分自身の投稿文を英作文します。
第3問:リーディング・ライティング
クラブでお別れ会の準備をしている際の会話を読んで,質問に答える形式です。
複数の情報に基づいて,購入するものや日程を考え,最終的には買い物に行くための提案を英作文するものでした。
第4問:リーディング・ライティング
小問が2つあり,メールやSNSでのやりとりが題材となっていました。
一つ目は外出中の人からメッセージを受け取り,留守番中の自分が家で状況を把握し,メッセージに対する返信メッセージを英作文するものです。
また,もう一つはポスター作製のためのSNSのグループメッセージを読んで,出来上がったポスターの空所に補う適切な英文をかくものです。
それぞれ人物の発言内容をつかみ,訴えたいことは何かをしっかり読み解く必要があるようでした。
保護者の時代と求められるレベルが違う!
この記事を書くために,問題の中身をしっかり確認して思ったのは,私が中学生の時とは求められるレベルが全く違うということです。
単純な暗記で点数を稼ぐことができる単語や熟語,アクセントといった問題はひとつもありません。
問題数自体は少ない代わりに,読んだり聞いたりした内容から色々考えて,英作文しなければならないのです。
英語のテストが国語のテストの内容に近づいている印象を持ちました。
中学2年生でこの内容なら,高校生は一体どんな問題に取り組むのか・・・。
娘の学校では,既に大学入試改革に対応した授業が行われています。
そのおかげなのでしょうか,学校の英語の成績はパッとしない娘ですが,「英語で内容をつかみ理解するちから」に関してはレベルS,「組み合わせて判断する力」がレベルAとまずまずの評価となっていました。
「読み手に伝わる英語で表現する力」に関してはボロボロの結果・・・,今後の課題ですね。
今回の結果,私のような素人にも娘の得意・不得意が具体的に分かって,大変役に立つものでした。
娘自身も,苦手だと思っていた英語で,SやAが付いたことをとても喜んでいて,モチベーションアップにつながったようです。
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