「庶民は見た!私立中学校の日常」のコーナーは,私立中学校に通う親子の日常をご紹介いたします。
私立中学校を考えられている方の参考になればと思います。
私達の娘は,現在,私立中学校の2年生です。
我が家の中学受験は,小学6年生の夏休み明け,娘が「○○中学校に行きたい!」と妻に相談したことから突然始まりました。
このとき受験日まで残り4ヶ月弱!
それまでの勉強は,ごく一般的な通信教材のみで過ごしてきたため,急遽通うことにした塾でも合格は期待しないようにと言われていました。
ですが,志望校に入りたい一心で,娘は平日4時間,休日12時間以上の勉強を続け,難関私立中学校に合格することができました。
入学後,娘は念願の管弦楽部に入り,充実した日々を送っています。
一方で,親である私達夫婦は,ごくごく普通の家庭かつ公立校育ちであり,私立中学校はハードルの高いところでした。
ですので,入学後には家庭環境の違いや金銭面での格差を感じたりなど,庶民ならではの小さな悩みや驚き,ドラマがたくさんあります。
そんな庶民からみた,私立中学校の世界を,少しずつですがご紹介していこうと思います。(当コーナーは,中学受験の時期から,これまでの出来事をピックアップして振り返って書いていきます。リアルタイムではないことをご了承ください。)
≪中学校2年生:8月下旬の出来事≫
2年生の保護者対象の進路説明会に行ってきました。
内容は,主に「大学入学者選抜改革の動向と対策について」でしたので,ご紹介します。
2020年の大学入試改革について,ようやく少しずつ決定事項が増えているようです。(昨年の同時期に同じ内容の保護者説明会がありましたが,具体的な情報は何もありませんでした。)
当の大学側が方針決定に苦慮し,なかなか情報が増えない中,それでも待ったなしの改革です。
改革元年にあたる高校1年生と保護者は,さぞ,やきもきしていることでしょう。(東大が英語の外部試験について導入しないと発表して,その後すぐ,導入すると方向転換したりしてますね)
各大学側は今夏,一般入試の改革方針について方向性を示す予定になっていましたが,ほとんどの大学はこれを先送りしたようです。
そんな中で先陣きって方針を示したのが,「早稲田大学」です。
この内容を見た他大学がどう出るか分かりませんが,有名私立大学の出した方針の影響は小さくないと思われます。
早稲田大学は2021年度が改革元年
早稲田大学は政治経済学部の一般入試について,2021年度から,大学入学共通テスト、英語外部検定試験、学部独自試験の合計点で選抜する方式に変更するそうです。
大学入学共通テスト(4科目各25点,計100点)
私立の文系といえば,数学不要で得意科目だけでチャレンジできるイメージが強いのですが,なんと大学入学共通テスト(現センター試験)において数学Ⅰ・Aが必須となります!
数学に苦手意識を持ちやすい女の子は特に注意しないといけませんね。
他は,外国語,国語,選択科目の3つです。(詳しくは早稲田大学HPをどうぞ)
英語外部検定試験および学部独自試験(英語3割程度,計100点)
英語については,外部検定試験を利用で,全体200点中の約15%程度の配点割合になる予定だそうです。
先生の話では,英検なら最低2級取得を目標に,ということでした。(保護者世代からすると結構なハードルに感じるのでは?)
他の外部検定試験として,娘の学校ではGTECを活用していて,中学1年生から継続的に校内受検で英語力の確認を行っています。
希望者対象で対策講座も実施されているので,塾に行く必要もなく助かります。
そんな訳で,英語に関しては心配はないのですが,早稲田の試験内容で厄介だと思ったのは,学部独自試験です。
サンプル問題は公開されていますので,興味のある方は確認してみて下さい。
👇早稲田大学公式HP👇
https://www.waseda.jp/inst/admission/undergraduate/change/
サンプルの大問1は日本語長文,大問2は英語長文で,日米両言語の長文を読み解いて解答する方式となっています。
そして,教科横断的な問題となっていて,英語の説明文中に図表が出てきます。
解答方法も多様で,正確に読み取れているか確認するマークシート方式,読み取った内容を用いて図表の作成,正しい図表の選択,さらには300字の小論文まであります。
単純に英語が読めるだけでは解けません。
詰込みの「知識」だけではなく「思考力・判断力・表現力を必要とする問題となっているのです。
このような教科横断的な問題は,詰込み勉強だけで対応できるものではありません。
様々な経験,新聞や読書から得た情報,自分が感じたこと,考えたこと,表現すること,様々な力が基礎学力と結びついて得点に繋がるのです。
ちなみに,このような方式の一般入試を従来から取り入れているのが,国際基督教大学(ICU)です。
リベラルアーツ教育を行うICUで必要とされる適性を試す意味があるそうです。
(リベラルアーツ教育: 優れた教養人となるための基礎的な学問,例えば芸術・人文科学・自然科学など幅広い学問を学びます。)
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企業で必要とされる人材
近年,企業では専門性のある人と同時に、幅広い知識を持ち様々な問題に総合力で立ち向かえる人も必要とされています。(ですから,リベラルアーツ教育が注目されています)
私は一般職なので,定年を迎えるまで専門性が重要視されますが,総合職だと研究職として入社しても10年程でマネジメントのような業務が中心となっていきます。
この時が,出世できるかどうかの分かれ目で,有名大学を卒業した優秀な研究職の人であっても,研究以外の事に対して能力が弱く,埋もれていく人も多いのです。(好きな研究を続けることが出来るので,その方が幸せと感じる人もいるかも知れませんが・・・)
実は,2020年の大学入試改革は,経済界からの要望で実施されるものです。
企業が上記のような,幅広い教養を身に着けた人材を必要としているから,大学教育でその為の教育をしてほしいのだそうです。
大学は,そのような教育に対して適性があるか確認する為の入学試験を実施する必要があり,今回の入試改革に繋がったというわけです。
と,なると次に高校や中学,小学生まで教育方法について変革が必要となってきます。(少しずつ指導要領は変わってきてますね。中学受験においては,既に問題の質が変化してきた学校もあります。)
これに早くから対応,もしくは以前よりそのような教育をしていたのが私立の学校であり,2020年以降しばらくは大学受験において優位性があると言えます。
娘の学校でも設立当初から,詰込みだけでない学びを掲げているため,信頼を持って先生にお任せすることができます。
多面的評価って何?
大学入試改革で,もう一つ重要なのが多面的評価についてです。
この扱いについても各大学に任されていますが,早稲田大学は「提出は必須だが得点化しない」とのこと。
提出って?と思われた方もいらっしゃると思います。
この多面的評価というのは,就職活動で企業に提出するエントリーシートのようなもので,受験生の「主体性・多様性・協働性」を評価するものなんだそうです。
高校時代に自分がどんなことをしたか,何を感じて何を得たか,自己評価するのです。
内容としては生徒会,部活動や校内行事の実行役,校外活動(ボランティア),スポーツ,趣味,習い事,何でも良いのです。
大切なのは,主体的に取り組んだこと,得られたことについて表現することが出来るか,なのです。
こういったものは,いざ書こうと思ったとき,たとえ数年前のことであっても,具体的に思い出すのは難しいものなんだとか。(文化祭が盛り上がったことは覚えていても,自分がどんな事を感じて,どんな風に頑張ったか,具体的に記憶をたどるのが難しいとのこと。)
そこで日頃から,記録として残しておくことが大切なのだそうです。(日記でも作文でもレポートでも良く,その行為も表現の訓練となります。)
机上で勉強さえしていれば大学に入れる時代は終わりが来るのかもしれませんね。
最近の企業エントリーシート
最近の就職活動エントリーシートの項目で,先生が頭を悩ませたものらしいです。
『あなたの手元に自由に使うことのできる3,000万円があるとしたら,あなたはどのように使いますか。』
さて,どう答えれば採用されるんでしょうか?
他にも『今あなたが描いている夢(ヴィジョン)について,その夢を実現するために具体的にどのようなことをしますか?または,していますか?そして,その夢をいつまでに実現したいと思っていますか?(夢に日付を入れて下さい)』
この質問を見ても,企業が主体性を持った人材を求めていることが分かります。
まだ中学2年生の娘ですが,まずは部活での学生指揮者やパートリーダーなどの役を目指して頑張るそうです。(わが家の娘は管弦楽部命!です)
また,先生からは高校受験がないメリットを活かして,今のうちに外部プログラムに積極的に参加して,色々な事を吸収するようにして下さいとアドバイスをいただきました。(プログラム選定も自分でするのが望ましい)
いきなり自分で探すのは難しいでしょうから,まずは,娘が興味を持ちそうなプログラムを私がいくつか探して,参加を促してみようと思います。
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