こんにちは,ひなたママです。
日本が経済的に総中流社会であった時代は既に遠い過去となり,格差社会の時代が続いています。
経済格差が生まれる背景には教育格差があります。
「親の経済格差が子の教育格差に繋がる」ことは,多くのデータによって示されています。
そして更に,「子どもの教育格差は,子どもの経済格差につながり」,ぐるぐるぐるぐると回って格差はより深くまた拡大しているのです。
少し古いデータですが,2014年度の『東京大学学生生活実態調査』によると,東大生の家庭では年収950万超が半数以上の54.8%を占めていたそうです。(世帯主が40-50代の総合データでは年収950万超が22.0%であることから偏っていることがわかります。)
ですが,実は年収350万未満の低収入層の家庭で育った東大生が8.7%もいたのです。(世帯主が40-50代の総合データでは年収350万未満の低収入層は24.5%です。)
親の経済格差が子の教育水準に影響しなかった理由がどこにあると思いますか?
それは,親の子どもの教育に対する意識の違いにあると思います。
私は「親の意識格差が子の教育格差に繋がる」ということを,実体験として知っています。
少し長くなりますが,この記事を読んでいただけると,親の子どもの教育に関する意識が子どもの将来に大きな影響を与えることが分かっていただけると思います。
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- 1.私の学歴と仕事
- 2.大企業で感じる経済格差と教育格差
- 3.一般職と総合職でこんなに違う,学歴に対する意識格差
- 4.低確率の事象を一般論にしてしまったらダメだと思う
- 5.親の教育に対する意識は子どもの教育水準に大きく影響する
- 6.子どもの将来に対する責任
- 7.我が家でも意識の違いが鮮明に
- 8.夫の理解を得る
- まとめ
1.私の学歴と仕事
私は地方の国立大学を1999年に卒業しました。
当時はバブル崩壊後の就職氷河期の真っ最中でした。
就職浪人はより不利になると言われていたので,それを回避するための大学院進学や専門学校進学,学んできた専門とは全く異なる職種での就職,その気のなかった地方公務員試験を受ける,採用条件のレベルを下げて就職する等々,みんな仕事を得るために必死でした。
私の周囲で希望する職に就けた人は一割程度であったと思います。
親も私も,国立大学を卒業すれば就職は余裕で,一生食べていけると考えていたので,まさかの事態でした。
何も条件を考えなければ,どうにか就職先は見つけられそうでしたが,私は寿退職など一切頭になく,一生自分で稼ぎたいと考えていましたので,納得いかない職にはどうしても就きたくありませんでした。
そこで私は,大学時代から興味のあった医療系の国家資格を得るために専門学校に進学することを選び,両親もそれを許してくれました。
経済的には苦しかったであろう両親が,専門学校への進学を許してくれたのは,焦って妥協して就職するよりも,興味のある分野で国家資格を取得することが,私の将来にとってメリットのあることだと冷静に判断してくれたからだと思います。
そして三年後,専門学校からの推薦を受けて,現在の大手企業の研究職(一般職)に無事就職することが出来ました。
回り道はしましたが,一般職でも年収は残業なしにも関わらず,40代の平均年収(およそ540万円)と同レベルです。
加えて,大企業ならではの申し分ない福利厚生の恩恵を受けています。(産前産後休・時短勤務,年次休・時間休,フレックスタイム制等々,フル活用です)
何よりも,興味のある分野での仕事を続けていられることは,同世代(特に女性)ではとても恵まれている方なのだと理解しています。
専門学校に進学することを許してくれた両親には頭があがりません。
2.大企業で感じる経済格差と教育格差
さて,私は大卒ですが先述のとおり,一般職で就職しました。
当然ですが,一般職と総合職では,求められる能力や仕事内容が異なっていて,そこに給料の差が存在します。
一般職では40歳過ぎで年収550万円ほど,学歴は高卒(商業や工業科),高専,短大,地方大学と様々です。
一方で,総合職の同年代の年収は1,000万円前後となり,何と約2倍もの開きがあるのです。
同年代で総合職の人達の出身大学を見ると,東大・京大を始めとして旧帝大クラスがずらっと並びます。(近年は売り手市場のため,上位地方大学の出身者も多くなりました。)
そして総合職の人達の大半が,私立の中高一貫校や,県立トップクラスの出身であり,その両親の職業も教師や研究者,大手企業の社員だということです。
このように,私の職場では一般職と総合職で見事に経済格差と教育格差を感じることができ,パートや派遣社員まで含めると,まるで現在の日本社会の縮図のようです。
3.一般職と総合職でこんなに違う,学歴に対する意識格差
偶然にも,職場には同年代かつ小学生~高校生の子どもをもつ男女が多く集まっています。
そこで子どもの話しになると,男親・女親を問わず,耳にする会話があります。
一般職の方同士だと以下のような感じです。
「娘はあんまり勉強できる方ではないのよね~。」「女の子だし優しい子だからいいんじゃないの?いい結婚相手を見つけることができると良いわね。」
「息子が勉強嫌いで困るわ。」「でもスポーツ万能で明るくっていい子よね。」
そして,結局子どもの学業については「ま,いっか。」となるのです。
これは,社交辞令などでお互いをフォローし合っているのではありません。
彼らは心からそう思っていますし,自分の子どもが高卒(専門,短大)から就職というルートをとることに,全く抵抗を感じていないのです。
また,彼らは大学がどういう場所かを知らないため,進学させる意義を見出せません。
大学も高校と同じ面白くない授業が延々続くと思っていて,それが4年間続くくらいなら,さっさと就職して自由を謳歌した方が良いと思えるのだそうです。(この話は同じ一般職の同僚から聞きました。)
ですから,高校進学自体も深く考えず,子ども達の学力にあった学校に行けばよいと,中学校での成績を上げることに対し一生懸命ではありません。
良く言えば,あるがままの子どもを受け入れているので,子ども達は本当に素直で親子関係はとても良い家庭が多いようです。
ですが,子ども達の将来を考えた場合,本当にそれで良いのでしょうか?
一方で,総合職の同世代や後輩の話を聞くと,はっきりと学歴に対する意識の違いを感じます。
先ほどと同じような会話の内容でも総合職の方の場合はこうなります。
「うちの子,成績が下がってきて,どうしたもんかなぁ。」「中学生で何とかしとかないとマズイですよね。○○塾は面倒見がよくて良いらしいですよ。」
「あまり勉強が得意ではないのよね。」「だったら就職偏差値の高い大学はどう?」
高卒という選択肢は初めから持っていないことが分かります。
ランクを下げたとしても,就職偏差値の高いお得大学までなのです。
さらに私の上司は,義務教育の時点で,子どもが勉強についていけなくなっているのに放っておく親に対し,このように主張します。
「勉強できなくても良いよなんて言って,社会のことを何もわかっていない子どもの低学力を放置するなんて育児放棄に等しい。」
「高校でランクを下げた時点で,将来の選択肢が狭まるのに,それを簡単に良しとするなんて信じられない。職業選択を考えた場合に可能性を大きく残すためには,最低でも大学進学,理系なら大学院をすすめるべきだ。」
将来の可能性を狭めないように育てた結果,それでも,本人の希望で高収入を望めない職に就くなら,それは本人の自由だそうです。
4.低確率の事象を一般論にしてしまったらダメだと思う
私の職場の一般職の方が,子ども達の大学進学に対して熱心ではない理由がもう一つあります。
それはプライベートで周囲の人と比較すると,勝ち組と言って差し支えのない生活水準を維持できていて,満足しているからです。
一般職同士で結婚した場合でも世帯年収は1,000万円を越えますし,社宅に信じられない格安価格で住むことができるため,持ち家の購入資金も無理なく用意することが出来ます。(勤務条件や福利厚生制度が良すぎて,寿退職や妊娠に伴う退職がほとんどありません。)
そのような恵まれた環境であるため,高卒であることにデメリットを感じることがないようです。
そして彼らは自らがレアケースであることを忘れ,息子や娘が大学進学しなくても,自分達と同じように金銭的に不自由なく楽しく仕事が出来ると思っています。
何がレアケースかというと,まず大企業の一般職に高卒で就職するためには,校内でトップクラスの好成績を維持する必要があります。
また,景気が悪くなると一般職の採用試験そのものが無いことも考えられますし,働き方の多様化によって大卒でも一般職を希望する人が増えているため,当然ライバルのレベルも上がります。
実際,私が就職して5年間は一般職の採用は控えられていましたし,その後の採用では急激に高専や地方大学卒の割合が増えました。
つまり,自分達の子どもが高卒で大企業の一般職に就職するためには,景気がよく,進学先の高校でトップクラスの好成績を三年間維持する必要があるのです。
この低い確率のルートに乗ることを一般論にして「勉強できなくても好きなことを夢中でやって,高校卒業後は就職したら良い」というのは,子どもの将来の生活を考えると無責任に感じます。
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5.親の教育に対する意識は子どもの教育水準に大きく影響する
母は,私が小学生の頃から「手に職をつけるといいよ。薬剤師,先生,看護師,何でもいいから,ずっと仕事を続けられるように。」と言い続けていました。
母は高卒で父は中卒ですが,私が大学進学を当たり前に思うように誘導していたのだと思います。
一生自分で稼ぎたいと考えていたのも,母の考えから影響を受けていると思います。
ただし,両親や親戚等にそもそも大卒者がいない環境であったため,「国立大学に進学しさえすれば将来安泰」という甘い思い込みがあったことは否めません。
さて,冒頭に述べたように,年収350万未満の低収入層の家庭で育った東大生が,8.7%いるという事実があります。
このように親の経済格差が子の教育水準に影響しなかった例として,総合職の後輩をご紹介します。
彼は両親が共に高卒で,あまり裕福な実家ではなかったそうです。
しかし幼少期から塾に通い,お母さんとの家庭学習を続け,大学進学が当たり前のように育ったそうです。
その結果,有名私立中高一貫校から京大大学院という,人がうらやむようなルートを通り,何社もの有名企業からの内定を得るまでに成長しました。
彼は,希望した研究職として仕事を続け,やがて年収1,000万円に到達することでしょう(1,000万円は通過点です)。
ご両親は節約家でしたが,教育にかかるお金を惜しむことは一切なかったそうです。
それどころか,小さい頃から博物館や展示会などに積極的に連れて行き,高校に入学すると難関大学や有名大学のオープンキャンパスを目的とした旅行もしたそうです。
明らかに親の子どもの教育に対する意識の高さが,子どもの教育水準の高さに繋がっています。
その結果,息子は希望する職業に就くことができ,その上,経済格差の連鎖を断ち切ることに成功したのです。
今は,あらゆる情報が簡単に手に入る時代ですので,教育と就職の関係性に関する知識はいくらでも仕入れることが出来ます。
例え自分の知らない世界であっても,子どもの可能性を狭めない為には,様々な情報を得てそれを子どもに与えるべきだと思います。(私は大学院には進学しませんでしたが,娘が理系で大手企業に研究職での就職を希望するなら大学院進学はするべきと話しています。)
6.子どもの将来に対する責任
中学生の時点で学力を諦めるというのは,子どもの将来の可能性を著しく狭めることですが,個人の能力には差があり,限界もあることでしょう。
それならば,その子どもが将来どうやって稼いで食べていくことが出来るか,どんな道があるのか一緒に真剣に考えてやるべきです。
それが親の責任だと思うのです。
私は,娘には「私たちの生活と同レベルまたは超えることが出来る力」を身につけて欲しいと願っています。
私達夫婦はいつか娘を残していくため,いつまでも助けてやることは出来ないからです。
私達夫婦の学歴は高くありませんが,努力の甲斐あって富裕層にチャレンジ!というところまで来ています。
それはお互いの両親が,私達の将来を真剣に考え,色々な方面から教育してくれたからだと感謝しています。
7.我が家でも意識の違いが鮮明に
実は我が家でも,大学進学にこだわる私とそうでない夫は対照的で意見が対立していました。
夫は,必要な教育費は文句を言わず,すべて出してくれるのですが,私の教育ママぶりを見ながら「もっと伸び伸び,学生生活を楽しまさせてあげたら?」と,いつも言っていました。
私が娘の成績表を見ながら「大学に進学するためには~」なんて話をしようものなら,
・大学が全てではない。やる気になれば,いつでも人生は変えることができる。
・学歴より本人がやりたいことに向き合って,伸び伸び成長させることも大事。
・学歴に固執することこそが,子どもの可能性を狭めかねない。
と真っ向から反対していました。
夫が学歴にこだわらないのは,大学を卒業した私が結局一般職として働いていることと,逆に,専門卒の夫自身がIT技術者として大卒の社員と肩を並べて稼げる人間になっていることが影響しています。
夫は人一倍の努力家であり,何百人もいる専門学校でトップの成績を維持し,超難関のIT国家資格を学生時代に取得していたからこそ,希望する中堅IT企業に100倍以上の倍率を勝ち抜き就職できたのです。
私は,娘が夫と同じルートを通っても,たどり着く結果が同じである確率は限りなく低いと思っています。
ですから,夫の主張もやはり,低確率の事象について一般論化しているので,どうにも説得力がないと私は感じるのです。
そして,現在の娘は,「将来ぜったいにこの職業になりたい!」といった強い意志があるわけではなく,趣味の延長上に職業をぼんやり考えているところです。
このような状況で,大好きな管弦楽を一生懸命頑張ればいいよと,学力向上を諦めることは,やはり育児放棄と同じに思えるのです。
8.夫の理解を得る
夫と粘り強く会話した結果,私の考えについては理解してもらいましたが,心から納得はしていないでしょう。
そこで出た夫の要求は1つ。
「あれをしろ,これをしろと押し付けず,娘自身が何をするべきか,どう解決したら良いのかを考えて行動するように教育をすすめて欲しい」
ということです。
私自身,ちょっと口出し過ぎたわ~と反省することが多々ありますので,夫の要求については何も異論はありません。
悪い意味での教育ママにならないように,気をつけていこうと思います。
まとめ
まだ将来の希望もぼんやりしている義務教育中の娘。
パティシエ,音楽関係の仕事,医療関係...いろいろな分野に興味を持っています。
パティシエから医師まで,必要とされる学力も学歴も様々です。
彼女の可能性を狭めない為には,やはり難関大学進学も視野に入れて,今現在の彼女の学力を最大限伸ばせるように助ける,それが親の果たす役目だと思うのです。
高収入の職業に就くことだけが幸せに繋がるのではない,私もそれは分かっています。
ですから,広い選択肢の中で,最終的にどのような職業についたとしても,それは本人の自由だと思っています。
夫とは今後も話し合いながら,娘の将来の可能性の幅を出来るだけ狭めないように対応していきたいと考えています。
幸い,中高一貫校であるため,中学1年生のうちから大学進学や就職について先輩や先生・卒業生から情報を得る機会が多いようで,娘自身の進学意欲は高くなっています。
我が家の娘は,とてものんびりしているので,早目に情報を得ることが出来る中高一貫校に進学できて本当に良かったと思うところです。
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